繁殖を卒業したスコティッシュフォールドの母猫ユキ。現在はキャットランドでのんびり暮らしている。

猫の温度管理についての考え方

はじめに

猫と暮らすうえで、温度管理はとても重要なポイントです。

ここで紹介するのは、室内飼いの環境を前提とした、うちの猫たちへの温度管理の考え方です。

実家では代々、野良出身の猫たちと暮らしてきましたが、独立後はスコティッシュフォールドとの暮らしに移りました。

昔と今で変わった猫の温度管理の常識

当時は、人も猫も自然の気温の中で暮らすのが当たり前で、猫のために冷暖房を使う発想は、まだ一般的ではありませんでした。

その後、ペットショップで働きながら、動物関連の資格取得に向けて学んでいた頃、「室温は年中25〜26度が理想」と教わりました。

一定の温度管理が必要な場面もあると理解しつつ、当時感じた違和感はいまも心に残っています。

私が大切にしたいのは、猫が自分で動いて、居心地の良い場所を選べる環境。

少しの寒暖差に慣れていけるのも、猫の強さのひとつだと感じています。

これは、うちの猫たちの性格や暮らし方に合わせて整えてきた方法です。

うちで実践している冬と夏の温度管理

うちでは、冬は17度以上の環境で猫を育てています。

ただし、小さめのボックスや毛布で包んだソフトアンカを用意して、猫が自分で暖を取れるようにしています。

夏は30度以下を目安に、壁掛けの首振り扇風機やエアコンの冷房・送風で空気を循環。冷やしすぎず、暑さがこもらないように工夫しています。

季節の変わり目などで急に気温が上下すると、猫がお腹を壊したり、元気がなくなることがあります。

普段から少し様子を見るだけでも、小さな変化に気づけます。

体調を崩した実例から学んだこと

冬に預かった人見知りの猫が、3日目で急激に体調を崩したことがありました。

最初は「ビビリな子だから」と言われて様子を見ていたんですが、寒さと環境の緊張が重なり、深夜に緊急病院へ。

たった数日の温度差でも、猫には命に関わることがあると痛感した出来事です。

夏にも、エアコン工事の遅れで数日間冷房が使えず、猫が熱中症から尿路トラブルを起こしたことがありました。

「工事が遅れたから仕方ない」と言い訳したくなったけれど、本当はもっと早く準備できていたはずでした。

冬も夏も、違和感はあったのに、「ビビリだから」「工事のせいで」と理由をつけて動けませんでした。

けれど、猫の体は理由ではなく行動を求めていたんですよね。

動くべきときほど、“動かなくていい理由”が浮かぶ——それを越えて動くことが大切なんだと感じています。

新しく猫を迎えるときの温度への配慮

新しく猫を迎えるときは、環境が変わること自体が猫にとって大きなストレスになるということをまず意識する必要があります。

それに加えて、育ってきた温度環境と大きく違う場所にいきなり移すと、体にも負担がかかりやすくなります。

最初は育ってきた温度にできるだけ近づけて、無理のないペースで慣れてもらうのが理想です。

いきなり“厳しい環境”に合わせようとせず、その子に合わせる——それが猫にも人にも優しい温度管理だと考えています。

猫のしぐさから感じ取る温度のサイン

猫にはそれぞれ、窓辺や箱の中などいつも落ち着いて過ごす“定位置”があります。

ただ、いつもと違う場所にいたり、箱の隅に丸まっていたり、床にぺたんと寝ていたら、それは温度が合っていないサインかもしれません。

寒ければ複数でくっついたり(猫団子)、一匹でも奥まった場所に入りますし、暑ければ涼しい床に移動します。

そうやって猫は、姿勢や居場所を通して「いまの環境がどう感じられているか」を私たちに伝えてくれています。

だからこそ、人の都合だけで温度を決めるのではなく、猫のしぐさや動きを見ながら環境を整えていくことが大切だと感じています。